感想等雑記

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【ネタバレ】幕末天狼傳2020(9/21夜公演)

 東京公演中止ですね。中止は悲しいけど、二回見れてよかったです。やっぱりちょっと無理してでも三回目見たらよかった……。木曜昼公演見ようと思ってた……。

●二回目を見て

 今回はほぼ途切れず全編見られました! 二回目なのに「あ、ここ初めて見る……ここも前回見れてなかった……」という場所がたくさん……。ストーリーは問題なく追えていたものの、途切れた部分で結構重要な部分を見逃していました……。

・全編見れた猫の歌から思ったこと
 前回は二人が互いにからかうように歌っているところしか見られなかったのですが、最後の方で「寄り添いたい」と言っていたんですね……。「寄り添いたい」「傍にいたい」という安定の望みは、なんだかすごく「刀」らしいな、と思いました。沖田の持ち刀だった頃は、まさに腰に提げられたり部屋に置かれたりと「寄り添い」「傍にいた」のかな、と。そして刀剣男士となった今は彼から離れてしまって、何かをすることは歴史を改竄してしまう可能性があること。だから「できるのは見守ることだけ」。……歴史を守るために歴史に関わっていくことと歴史改変との違いは、紙一重のところにあるのかもしれません。新選組への潜入もラストで沖田を近藤のもとに連れていったのも、一歩違えば歴史改変になってしまう。蜂須賀の言う 「歴史解釈のうちに収まる範囲」で行動するのは匙加減がとても難しいのでしょう。
 でも、ラストの近藤と沖田を会わせることについて、不要な手出しだったのか? というとわたしは「必要だった」と思いました。もし、あの時加州と安定が連れて行かなければ、沖田はその後遡行軍に利用されていたのではないか。これまでの作品で「心が弱っていると遡行軍につけこまれる」(兄と友に裏切られた義経、兄を失い悩んでいた秀康など……)という描写があり、前回の天狼傳ではまさに沖田は病床の弱っているところに「近藤が処刑される」という情報を聞かされて何かに取りつかれてしまう。安定たちが沖田の「もう一度近藤さんに会いたい」という願いを叶えて、「あの世で土方を待つと近藤と約束」することで、その後の沖田にはもう遡行軍が付け入るほどの無念はないのではないかな。
 ……そう考えると前回天狼傳の沖田の暴走も「近藤死後に沖田が遡行軍に利用された可能性を潰す」ものだ。あの猫の「よきかな、よきかな」という声は、そのような「未来の懸念」が払われたことに対する言葉なのでは……あの「猫」は、今作も前作も敵ではないのではないか? 「多少歴史から外れることをしても、現在およびその当事者が死亡するまでの未来における歴史改変の可能性を減らす」、そのように歴史を守ろうとしていたのではないか……? そして「よきかな、よきかな」という口癖、猫は三日月宗近に縁があるのではないか? むしろ、あの猫が「三日月宗近という機能」なのか……?
 わたしは前回の天狼傳の猫を「歴史を変えたいという欲望に反応して遡行軍が猫の姿になって近づいてくる」と考えていました。安定が沖田に薬を渡そうか迷うときによく出てきたので……。でも、今回の描写であの猫が単に敵なわけではないように思えてきました。

・新選ばれぬ者
 まだまともに聴けたのが一回だけなので聞き逃しかもしれないのですが、新しいバージョンだと前回印象的だった「今は意思も体もあるから自分で選びたい」みたいな台詞がなくなってません? わたしは前回これを聴いた時「自分で選びたい」と思うのは素敵なことだと思うけど「でも、それは歴史改変と紙一重では?」とも思っていました。特に前作は安定が歴史修正しかねない危うさがあったので余計に。今回は「空が青いようにそれは当たり前」と「選べないことを受け入れる」歌詞だったような……。実際問題として人間だって選べないものは選べない(病気になったり被災したりすることは全くもって選べない)。それを「受け入れる、受けとめる」歌詞なのかな、と。
 前回の選ばれぬ者は「それぞれの感情をあらわにした歌」でした。今回は、その感情から一歩引いていたように感じました。この歌に限らずストーリーも全体的にみんな精神的に成長している感じ……。

・安定が前作より落ち着いている
 安定が前作の不安定さがなくなっているように思います。前作の安定は自分の感情に振り回されながらも「結局のところ自分が何を望んでいるのか」がわかっていなかったのではないか、と思います。「沖田を守りたい」の中身が「沖田の命を守りたい(歴史改変してでも)」なのか「沖田の生き様(歴史)を守りたい」なのか、自分で区別がついてない。でも今回は序盤から「寄り添いたい、傍にいたい」と「自分の望み」をはっきり持っている。実際に傍に行ったときに「今なら沖田の命を救えるのでは?」と揺らぐことはあったけど、ラストも「寄り添いたい、傍にいたい」からぶれない。それに加州をちゃんと見ている。前作は加州が一方的に安定のフォローをしているばかりだったのが、今回は加州が口にしづらいことを代わりに言ったりと安定も加州の心をフォローしている。その辺りが、なんだか前作より成長しているように想います。

●今思うこと
 上記、 二回目を見たすぐ後に少し書いていて、東京公演中止の報を聞いて止まっていたものに加筆したものです。日が経つほどにどんどん記憶が薄れていくので、とりあえず今思ったことだけ書きました。忘れっぽいのでなるべく早く書き留めたいなあと思いつつ、感じたことや考えたことを言語化するのも、難しいですね。公演が再開されたら、また配信を楽しんで、こうして感じたことを書いていきたいです。