感想等雑記

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【ネタバレ】髭切 膝丸 双騎出陣2020(9/2昼公演)感想

 全日ライブ配信、二回目の視聴です。夜は忙しいので、昼公演がありがたいです。

●第一部
 また膝丸がマイクトラブルありました……。当たりが悪いのかな? 今回は第一部の兄弟の再会のあたり。突然雑音がして、声が聞こえなくなりました。でも、次の台詞からうっすら聞こえるようになったので、相当声を張っていたのでしょうか。トラブルに顔色一つ変えずに演技を続けるので、ちょっと「これはパソコンの不具合なのでは……」と疑ったほどです。引っ込んだ時に暗転長引かせたりして直すのかな……? と思っていたら、特に引き伸ばした様子もなく出てきて、膝丸をよく見たらもう一個マイクが。外す暇がないので追加で別のものをつけたみたいでした。すごい、時間短縮しつつ確実にマイクが使える方法だ! とそのリカバリー力に感動しました。トラブルはもちろんない方がいいのですが、 録画ではない「ライブ」配信なのだと改めて感じました。

 今回は、『巣立ちの舞』ですごく泣けてきました。わたしは2019公演の時からこの歌が第一部で一番好きな曲なのですが、美しく感動的であると同時にとても残酷な歌だと思っていました。曽我兄弟の母が言うとおり「愛し育てた子をむざむざ死なせにいかせるものか」とわたしも思います。「顔を見られるのはこれが最後だから」と十郎は言うけれど、母からしたら残酷すぎるお願いです。母親に対して「これが最後」「どうか仇討ち許してほしい」と迫るのは、自分たちへの愛を試すみたいでひどいんじゃないの? ……と思っていました。いや2019公演の時も兄弟に試すような下心があるとは思ってなくて「真摯に許しを乞うてる」とは思ったのですが、母親側の気持ちを「迫られたので武家の人間として仕方なく仇討ちを許す」という風にしかわたしには思えなかったのです。
 でも、今回の『巣立ちの舞』では、とても心打たれたのです。仇討ちに行かずにはいられない、だからこそ最後に母親の顔が見たい。真っ直ぐに育てられた感謝を伝え、いい顔をされなくとも真正面から許しを乞う。母が「仇討ち、立派に果たして参られよ」と応えることにも、「仕方ない」よりもその言葉があれば二人は悔いなく仇討ちにいける、「悔いなく生きられる」と思ってこその言葉だ、と思ったのです。もちろん息子たちを死ぬとわかって送り出すことはつらいことだけれど、止められないならばせめて悔いがないように、と思っての言葉ではないか……その心の方に気持ちがいったのかもしれません。今回は、巣立ちの舞からラストまで素直に感動しました。

 素直に感動、というのは、わたしはこの双騎出陣の曽我物語をとても面白いと思ったし好きで何度も見ていますが、『仇討ち』という「殺されたから殺し返す」というものに抵抗感があります。「物語は物語として楽しめばいい」とも思うし、感動するのは一度その「殺人はよくない」という倫理観を横に置いてるからなんですが……。あと兄弟は仇討ちを果たして満足かもだけどその後の母親の悲しみは「今は昔のこと」と切り捨てるのは本当に酷だなと思います……。時代劇は「男の意地」や「武士の誇り」が優先で女性の悲しみなどは捨て置かれてしまうものが多いので仕方ないといえばそうなのですが……。

●第二部
 第二部は笑顔になれていいですね。特に『えおえおあ』が見ていると自然と笑顔になります。
 前回はびっくりが勝ったアモーレも、膝丸の声と相性がいいのかもなあと思いました。兄者のエンドレスナイトは本当に素敵です。これCDでレコーディングしてくれるのかなあ……と今から気になります。フルでじっくり聴きたいです。
 今回はラストまでマイクトラブルがなくてよかったです。前回は最後の方本当に聴こえなかったので……。それはそれで「兄者は下パートを歌ってるんだなあ」と気づいて面白かったのですが、二人の声がきちんと重なるとハーモニーがとても綺麗です。普段の観劇でマイクのことを意識することはほとんどありませんが、マイクのような意識に上りづらい、あるいは目に見えない、たくさんの技術や努力が集まって一つの公演が出来上がるのだなと思いました。

 週末にはもう兵庫公演が終わってしまいます。あっという間です。週末は見られるかわからないのですが、無事終わって東京公演も開催出来ることを祈っています。