感想等雑記

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【ネタバレ】静かの海のパライソ2021(9/27ライブ配信)感想

●公演を見る前の個人的な気持ち
 昨年の公演中止からおよそ一年半……ようやく見られるんだな、という気持ちです。わたしもわたしの友人たちも、チケットがあったのに公演中止になってしまい「仕方ないけど残念だね……」と話したのも随分遠く感じます。この一年半、大演練が中止になったり、天狼傳も双騎も青江単騎も一部公演中止があり……観客としてショックだし、カンパニーのみなさんはそれ以上に大変だったろうな……と思います。
 今回、ストーリーが結構重い、というのを風の噂に聞き、公演パンフレット(電子版を2020と2021両方買いました)の最初の数ページ読んだだけで「あっこれは本当にしんどそう」と理解し、ちょっと読むのをやめました。公演を見終わったらゆっくり読みたいと思います……。
 そういえば、電子版パンフレットとても嬉しいです。わたしはあまりモノを増やしたくないので、過去パンフレットもぜひ電子版を出してほしいです。契約関係とかで昔のを電子化するのは難しいのかなあ……。紙パンフレットは汚れたりするのが嫌でしまいこんでしまっているので、電子書籍なら気軽に読み返せていいのになあと思っています。

 では以下、ライブ配信の感想です。

●第一部

・信仰を持つが故に(読み飛ばし推奨)

(この文章は「ある信仰を持つわたしが、この物語によってなにを思ったか」の話で、本編の感想というよりはただの「わたしの心の話」です。読みたくない人は上の目次から飛ばしてください)
 真っ先に出た感想が「遠藤周作の『沈黙』よりひどくなかった……誰も改宗を強制されなかった……」でした。改宗は何よりもつらい……とわたしは思ってしまうので……まあ……浦島の話からは改宗に応じず虐殺された人がいたみたいですが……(鶴さんから否定の言葉が出てるけどどうかな……異教徒弾圧には厳しいんじゃないかな……しらんけど……)。
 わたしは舞台上で死んでいくキリシタンたちを見て「よかった、『転ばずに済んだ』」と思ってしまった。「わたしがそうなりたくないから」。わたしは「転ばなかった」ひとたちがうらやましい。強い心を持てることがうらやましい。これはわたし自身が「殉死の覚悟が足りてないから」です。命と引き換えに改宗を迫られた時、わたしは信仰に殉ずることが出来るのだろうか? と思うのです。大袈裟だと友達に笑われたことがあります。けれど今の日本は信教の自由があるけど、それは「今」の話でこれから先はわかりません。また信教の自由が制限されるかもしれない。その時にわたしは改宗を迫られるのかもしれない。信仰には殉じたいけど、そんな強い心を持っていない自覚もある。でもそんなことで生き延びて改宗の、「転んだ」苦しみを抱えたまま生きていくことが出来るんだろうか? ……そんなことを考えてしまいます。
 だから、「殉死出来たならよかった」と思ってしまいます。殺されたひとたちに対してこんなことを思うなんて、ひどいことだと自分でも思う。でも「殺されたかわいそうなひとたちだ」と思うことは「侮辱」ではないか? とも思います。信仰に殉ずることは何より誇るべきではないのか、と。特にキリスト者にとっては。わたしはキリスト者ではないけど、キリスト者にとって「殉教」がとても重要な概念であることは知っています。(調べたら、島原の乱の死者は殉教者として認められてないみたいなのでここでは「殉死」と呼びますね……)
 「殉死出来てよかった」と「殺されたことがかわいそう」は同時に持ってもいいのかな。後者が前者を否定しないだろうか。……というか、「わたしが」殉死したときにはかわいそうと思われたくない、と思っているだけかもしれない。それが「かわいそう」なら「転んだ方がよかった」に繋がってしまわないか……そう考えてしまう。わたしは「転んだ方がよかった」とか「転べばよかった」とか言われたくない。それなら「殉死できてよかった」と言われたい。……わたしは「自分が言われたいこと」を舞台上の彼らに思ってるだけなのかもしれません。
 ……「命」と「信仰」をはかりにかけるのは、きっとそれ自体がよくないことですね。鶴丸や松井は、そこをはかりにかけずにただ「命」が失われることを想ってくれた。刀だから、本人としては信仰を持たないからこそかもしれない。わたしはどうしても信仰に重きを置いて考えてしまう。
 なんか……今回の物語、「わたしにとって」信仰を問われる話だった……というか、ずっと自分の中にくすぶっている「その信仰心は本物か? それに殉ずることが出来るのか?」という思いがキリスト者たちの殉死を見ることで発火したというか。これは自分自身でケリをつけなきゃいけないことなんですが。別にこのブログでそんなことを書かなくてもいいのだけど、見ながらあまりに「わたしは殉死出来るのか?」と考えてしまったのでこのまま書き残しておきます。

・「歴史を守る」の残酷な面

 今回の話は、「歴史を守ること」のすごく「残酷な物語」だな、と思いました。天草四郎が殺されてしまい「誰かを天草四郎に仕立て上げ、島原の乱を歴史通りに行う」……つまり「天草四郎の虚像を作り、三万七千人の民衆を煽って負け戦をやらせる」……「三万七千人の民を殺す」。ものすごく……つらい任務です。
 わたしは島原の乱のことざっくり「キリスト教徒が弾圧されたため起こした反乱」と認識していたんですが、今回調べてみたら(Wikipediaをざっと読んだ知識ですが)重税や飢饉などの要素も重なった一揆なんですね。作中でも宗教弾圧のみが原因ではない、と触れていましたが。そうなると、犠牲者の中にはキリスト者ではない者が当然いるわけで。わたしは前節で長長「転ぶより殉死の方がいい」と言ってたわけですが、そうでない人間に関してはかわいそうと思う……。……その人たちはどこか自分の信じる場所に行けたのかなあ……。

 天草四郎役は、島原の乱に詳しくない日向と浦島、そして頭の中にすべての図面を引いている鶴丸。当たり前だが浦島にも日向にも鶴丸にも信仰はなく、鶴丸は「パライソと言っておけばいい」と言い、民衆もそれで騙されてしまう。……まあ基盤を作ったのはエモサクなのかな。終盤ひよった時は「信者に転べってのか!」って思ったんですが調べたら歴史的にはエモサクは幕府の内通者なんですね……。でも天草側がエモサクしかいないしこのストーリー上はガチに島原の乱キリスト教を守りたかったのかなあ……?

 浦島→キリスト者の庶民を集める、日向→旧豊臣臣下たちを集める、って役割分担に自然となったの、鶴丸の采配がすごすぎるなあ……。人が集まるのを見ながら「でも島原の乱って天草側みんな死ぬよね……?」と思っていたから、全体像をよく知らないまま無邪気に人集めする二人、特に浦島は見ていてしんどいものがあった……。最終は兄弟二人逃がされるか……? と思ったけど弟だけでしたね……。途中から「年や背丈的に天草の代わりにされるのこの兄では……」とは思ったんですが、最後になって最初に天草役で出てきた子と役一緒では? と思ったんですが、どうでしょうか……。

鶴丸のこと

 鶴丸は本当にしんどい役を引き受けたなあと思い……でももしかして三日月への意趣返し的なところある? ひとりで無理をしているのはお前だろう、という。物部の伝言にめちゃくちゃ嫌そうな顔で食い気味に言い返したのちょっと笑っちゃった。
 あと海で叫んでたの、誰宛なんですかね。三日月? でも島原の乱で人が死ぬのは別に三日月のせいじゃないよね。主宛なのかな。歴史を守れと命じるのはいつも審神者だ。もちろん天草四郎を守れていたら、今回ここまで苦労して「三万七千人の人間を自ら集めて殺す」ことはなかったかもしれない。でも「島原の乱の成立」には結局「三万七千人の死」が必要になる。自分たちは遡行軍を切るだけでも、そこでいつも人が死ぬ。「ただの数字じゃないんだ」って。鶴さんだいぶ審神者のこと好きみたいだけど、嫌にならないのかな。あんな怒ってたけど、審神者はずっと「歴史を守れ」と命じ続けてそれが歴史なら何万人でも殺せと言うよ。それは受け入れるのかな。「そもそも戦を始めたのが悪い」とかも鶴丸は随分「人間らしい」怒り方するなと思ってしまった。
 鶴丸、「武器である刀」たちに揺らぎを与えてしまったが、これはわざとなんだろうか。最終「自分たちは考え続けないといけない」と浦島たちが結論づけているので、「刀として主に使われるだけじゃなくて自分で考えろ」というのを仲間たちに伝播したいのかもしれない、と思いました。

・松井のこと

 松井が「血が~」という言葉をよく使うのは島原の乱で(鎮圧のためという大義はあるけど)キリシタンの民を多く殺してしまったから……というのが要因であるみたいですね。その追体験をさせに行く鶴丸……。でも「鬼だろう」という言葉を豊前は否定する。「いつか向き合わないといけないから」そして「今回は俺が一緒にいられるから」……りーだー、かっこいい……。
 松井が最初にキリシタンたちを切るのためらったとき「生き残っても転ばされるから切ってくれ!」って思ってしまった……。どうにもわたしは「信仰に殉ずることが出来るのか」をすごく考えてしまう……そんな日が来ないことが一番だけれど……。
 松井は、元の主の「これを最後の戦いにしたいから」という言葉に納得して戦うことにした。でも子供は切れなかった。……今回は、それでいいと思う。結果としては人間に殺されてしまったけど……それがなくても、浦島が説得して逃がすとか、そういうことしてもいいと思うけどな……大勢に影響のなさそうな子供なんだし……。(審神者がそんなことを言ってはいけないと思う)
 最後の「答えは出ないけど考え続ける」は、歌合の「生まれたわけは問い続けよう」にも繋がりますね。

・その他

 前から思ってましたが審神者ってめちゃくちゃ残酷ですね。なんで刀なんだろ。時間を移動できるロボットではなくて。わたしは波動科学的な感じで刀剣男士は六次元から降りてるから時間の移動が出来るんだろうとか考えてますが。いやだって時間の移動ができてなおかつ平行世界の可能性を選べるんだから六次元以上でしょ……七次元かもしれないけど……(詳しくはアルノサージュをプレイしよう!)(プレイしてもたぶんわからない)。
 こんなにつらい任務してても、みんな審神者のことは恨んでなさそうなのが不思議。恨まれそう。そこはもう道具だから持ち主のことはどうにも恨めないのかな……。

 序盤で蜻蛉切と村正が修行に出たような話があったけど村正派双騎とか……ないですかね……? めちゃくちゃ見たいですね……絶対すごいものが見れると思います……。

●第二部

・新曲

 一曲目はFree Styleなのかと思ったら新曲なんですね。いや、前回の公演と同じものかもしれませんが、配信にはない曲でした。なんかちょっと歌合を思い出すような透け感のあるヒラヒラした衣装で綺麗でした。歌の記憶は飛びました(笑)。

・Supernova song by 松井江

 なんか……序盤、エフェクトかけ間違えたんじゃないかなというくらい聞き取りづらかったです……。サイバーな曲ってライブになると歌う場所とそうでない場所の選択が難しいなって思いました。物語を見た後で「存在の意味にカルマが生まれた」って言われるとなんか重いな……。

・Yellow Sac Spider song by 大倶利伽羅豊前

 やっぱりダンスがかっこいいやつでした。顔を見ながらでも声が似てる気がします……。

・Be Cool!! song by 浦島虎徹・日向正宗

 途中で入る縄跳びがちょっと怖かった。転びそう。自分が運動神経悪いので、ああいうの見るとまず「危なそう」と思ってしまう……。
 二人とも可愛かった。

・In My Groove song by 鶴丸国永

 なんか鶴さんこの公演からすごくイケメンになったな……と思いました。音曲祭の時は「可愛い」って感じだったのが、今回「かっこいい」になってて……メイクもあるのかもしれませんが……。

・Free Style

 賑やかFree Style。

・YUKARI

 再生環境が悪いのかもですが、音がちょっと悪かったな……と思いました。特に全員で歌うとき、音割れとかしないようにボリューム下げてるのかな? と思うんですが、それですごく聴きづらい感じになっちゃって。見ながら音の悪さが気になってしまいました……。

・戦うモノの鎮魂歌(アレンジ版)

 よもや! いやなんか今回は歴史上人物の歌とかはないのかな、新選組や徳川みたく歌える雰囲気じゃないし……と思っていたので、まさかの選曲とアレンジでした。歌詞も少し変更されてますかね? 「時の流れ『逆らう船』」だったのが『さまよう船』になってる?

刀剣乱舞~カーテンコール

 無事に開幕してよかったし、無事に走り抜けてほしいなあ。