感想等雑記

感想とか日記とかを書きます。気まぐれ更新です。

読書メモ:京極夏彦、立花隆

 涼しくなってくるとバリバリ読もう~って気になります。京極夏彦を何作かと立花隆臨死体験を読みました。

京極夏彦

『書楼弔堂 破曉』
 文庫版が発売された頃に買ったのですが、一話目を読んでピンと来ず読むのをやめていました。最近本を整理していたら出てきたので、せっかく買ったのに読まずに処分するのももったいないな、と読み始めました。そうしたら面白くてするするっと全部読んでしまいました。前はなんで読むのやめちゃったんだろう……。
 明治二十年代半ばの世が舞台で、主人公は元士族の高遠という男性。本を読むのが好きで書楼弔堂に出会う。そこで偶然に勝海舟など歴史上の人物に出会ったり、誰かを弔堂に連れていったり……。特に大きな事件は起きない、ただ本屋で「その一冊」に出会う物語。
 始めのうちは明かされない歴史上の人物が誰なのかなあと考えながら読みました。「やっぱりこの人だった!」ってなったときはちょっと嬉しい。あんまり歴史詳しくないから、たいていわからないんですけどね(笑)。お馴染み(?)京極夏彦の別作品の登場人物も出てきます。

『書楼弔堂 炎昼』
 面白かったので続編も読みました。こちらの主人公は塔子という女性。明治という女性の自由がない時代で、家族から読書を禁じられていながらもひょんなことから弔堂に出会う。塔子は結婚や跡継ぎを生むことを期待されることを嫌と思いながら、でも強く抵抗するほど嫌なわけではない。女性の参政権は必要と考えるけれど女性運動に参加するほど志があるわけでもない(少なくとも作中の段階では)。どちらかといえば「平凡な女性」として描かれてるのかな(時代的に本を読める時点で非凡かもしれないですが)。自分がヘテロじゃないから途中「塔子も非ヘテロなのでは……」とか考えてしまったが、異性との結婚に抵抗ないあたりそうでもなさそうだ。明治とか非ヘテロでも異性と結婚させられてしまうんだろうなぁ……と思うとしんどい気持ちになった。本筋とは全然関係ないんですが。

『虚言少年』
 これも本の整理で出てきました。こちらは何年も前に図書館で読み、気に入ったので文庫版を買ったもの。で、買うだけで満足して何年も読んでませんでした(笑)。
 こちらは小学生三人をメインにしたギャグ小説。京極夏彦といえば『魍魎の匣』のように凄惨で先の読めないミステリーの印象が強かったので、初めて読んだときはこんなギャグ小説もあるんだと驚きました。嘘つきのケンゴ、天然な(?)ホマレ、口達者なキョーノの三人組の日常の中の、笑える出来事。わたしは世代がずれてるのですが、この時代に小学生だった人の方が細かい空気感? みたいなのわかるのかもしれないですね。
 短編七話が収録されています。クラス会の内容を三人で考える『月に吠えろ!』が好きです。三人組の中ではホマレが可愛くて好き。細かいけどケンゴが朝食食べてるシーン好きです……計画的にたくさん食べるところ……(笑)。

『遠巷説百物語
 巷説シリーズの最新作。今回の舞台は遠野、過去のメンバーは長耳の仲蔵、柳次。最後だけ又市が登場する。相変わらず「仕掛け」により妖怪のせいにして物事をある程度まるく納める。今回は毎話四部構成で、遠野物語のような導入があり、主人公の宇夫方が話を聞き集め、宇夫方と誰かが「仕掛け」に合い、最後に種明かしがされる、というパターンで読みやすかったです。
 熊の仕掛けがいくらなんでもその大熊の存在信じるの無理では……? と気になってしまった。大型の動物なら今さら新種は見つからないだろうっていう現代と、知らない動物が山にはまだまだいるかも、っていう時代とだと感覚が違うんだろうか……。現代だと虫とか小型のものなら国内に新種いそう(てか、普通にいると思う)て感覚が、大きな動物でもあった……みたいな……?

『旧談』
 江戸時代の『耳袋』の話の中から怪談を抜き出し京極夏彦が現代怪談風にアレンジした小説。京極夏彦の小説→耳袋の原文、という順に掲載されており、読み比べても面白い。
 『可愛がるから』が猫をとても可愛がっていた主人公の妻に死んだ猫がとりついて病に伏してしまい、猫に「どうしてとても可愛がっていたのにとりつくのか」と問うと「あまりに可愛がってくれるから離れがたくなってしまった」と答えるの、過ぎた愛情も禍根を残すというか……なんか悲しくなってしまいました。仏教的に愛執はよくないみたいな部分もあるのかな。

立花隆

臨死体験
『証言 臨死体験
 昔、立花隆の『臨死体験』は面白い! と聞いて興味はあったのですが、やっと読みました。面白かった! 臨死体験の事例紹介、研究の紹介、著者自身が身体離脱を体験する実験をやったことなどなど……面白い話がいっぱいでした。わたしは結構、そういうのって作中でいう「脳内現象」かなって思うんですが、別の部屋にあったものを当てるとかそーいう事例を読むと、人間の脳の外側にも意識があるのかなぁ……? とか考えてしまいます。アルノサージュ的に3次元ではない場所から見ているの……? みたいな……。
 『証言 臨死体験』は主に著名人の臨死体験の証言を集めた本。具体的な話がいろいろ読めて面白いです。臨死体験とは別に見た幻覚の馬の話が面白かったな。