感想等雑記

感想とか日記とかを書きます。気まぐれ更新です。

読書メモ:大島清昭、織田作之助

 今日はバテン・カイトスはお休みで本の感想です。

●大島清昭

・『影踏亭の怪談』
 怪談と推理ミステリーの融合? 混合? なテイストのストーリーでした。事件を調査していくパートと怪談作家「呻木叫子の原稿」パートで話が進んでいく。人為による殺人等の謎解きはあるが超常現象は解き明かされないので一話目ではラストにもやっとしたんですが、二話目からは「超常現象は超常現象として存在し、人為のものは謎解きされるスタイル」と理解して楽しめるようになりました。
 本のタイトルの『影踏亭の怪談』含む全4話の短編で読みやすいです。ネタバレなしで読む方が面白いと思うんであんまり内容には触れませんが、実話怪談系の作品とミステリーが好きなら楽しめるかと思います。

・『赤虫村の怪談』
 こちらも『影踏亭の怪談』と同じ呻木叫子が主人公。時間軸は影踏亭より前なのかな? この作品はずっと「赤虫村」という村の事件および怪談を追う長編です。こちらも面白かったです。個人的な好みとしては短編のが読みやすいですが。
 わたしはあまりラブクラフトに詳しくないんですが、クトゥルフ神話がベースになっているらしいので、そちらの知識があるともっと楽しめるのかもしれません。
 呻木先生の本もっと読みたい! と思ったのでこれシリーズ化しないのかなあ。

・『地羊鬼の孤独』
 呻木先生シリーズとは別の一作。
 小学校の校庭で遺体の入った棺が発見される。その棺には「地羊鬼」「弐」と書かれており、中の遺体は心臓が抜き取られて木製の模型の心臓と入れ替えられていた……というところから始まる連続殺人。今回は刑事が主人公。
 途中までは面白く読んでたんですが、呪いでも人が死ぬので個人的にはもやっとしました。呪殺がアリになってしまうと一般的な物理法則に基づく推理がパーになってしまう気が……一応メインの推理とは別だけど……。

織田作之助

・『夫婦善哉』『続夫婦善哉
 読む前は古い作品だし文章が読みづらいかな? と思ったんですが、ほとんど引っ掛からず読めました。たまに「これなんだろ……?」とか「この字読めない……」とかありましたが(笑)。あと文化的な面で「現在の私が想像する『カフェ』とここに出てくるカフェってだいぶ別物か……?」と思ったりもしました。そんな……カフェの従業員が全員(ネタバレ)なことある……?
 芸者の蝶子と既婚者で客だった柳吉が出会って三ヶ月で仲良くなり駆け落ちしてその後もラストまで別れない……んだけど読んでて「蝶子さん早くそいつは捨てた方がいい」としか思えないクズっぷりだった。妻の稼いだ金を使い込むな。
 柳吉にはもやっとするんですが、お話は面白くて夫婦善哉から続夫婦善哉まで一気に読みきってしまいました。いろんな商売をやって失敗したりしながらもくじけずたくましく生きてくのはすごいな~。

・『織田作之助女性小説セレクション 怖るべき女』
 『秋深き』が療養に行った宿の隣部屋の夫婦それぞれに愚痴を言われて石油飲まされて主人公がかわいそうだった。これコメディとして読めばいいのかな。