感想等雑記

感想とか日記とかを書きます。気まぐれ更新です。

【ネタバレ】再感想:江水散花雪(1/30公演ライブ配信)

 ディレイ見直した感想です。また一万字越えました。全面的にネタバレです。

●第一部ストーリーメモ&所感

・新人三振りでの遠征
 大包平(ちょっと先輩)と、新人の南泉と小竜による遠征から、意外な改変に巻き込まれる。『三百年の子守唄』のにっかり青江と大倶利伽羅の遠征→他のメンバーとの合流、という流れと似てるなと見直して思った。と、いうかそもそももしかしてこの歴史『みほとせの世界線』なのか……?

井伊直弼と松田松陰の出会い
 敵に誘い込まれ本来は出会わない井伊直弼吉田松陰が出会ってしまう。刀剣男士らも井伊も松陰も「なぜ誘い込まれたのか」という理由がこの時点ではわからない。この場での「足止め」が目的だろうかと推測し騒ぎを起こし、敵は撤退する……が、二人の名を知った小竜は敵の目的が「井伊と松陰の出会いそのもの」なのだと察する。
 ここで「二手に別れる」のが大包平&南泉と小竜なのは小竜のがレベル高いのかな。顕現順が大包平>小竜>南泉とか。

・山姥切国広登場、ソロ曲
 「水に映る自分の歌」。川や大河に映る姿ははっきりしないが、はっきりと映るよりぼやけるくらいがいい……今の山姥切国広は「自分自身を見つめたくない」のかな……と思いました。でもこの後も何度も「水に映る自分」「ぼやけるくらいでいい」という歌を繰り返す……山姥切国広の想いが何か、わかりません。
 主に大包平たちの支援に行く要請を出され承諾するも、なぜか「主の命令ではなく自分が勝手にやったことにした方がいい」と言う山姥切国広。なぜ……? 「あの時みたいな思いをしたくない」と「主の命令ではなく自分が勝手にしたことにしたい」ってどう繋がるの?
 世界が放棄されることを予想し「放棄された世界に慣れた刀」をつけて欲しいと主に頼む。山姥切長義を希望するが肥前忠広がつくことに。肥前が維新側の刀なので幕府側に詳しい刀もつけて欲しいことを主に伝えてから出発。
 ……ながよしがいたら後の展開がスムーズだったのでは。いや、この説明不足山姥切国広にながよしが延々キレそうか。肥前だから「こいつ説明しねーな」って思いながらスルーしてるけど。個人的に普通にキレていいと思う件……仕事上できちんと情報共有しないやつはほんと困るんだよ!

・南泉ソロ
 可愛い。ネコチャン。ダンスがとても上手。
 井伊の元でまったり過ごしている模様。大包平により「猫丸」という偽名をつけられている。
 小竜は松陰と旅に出ている。松陰は旅先から井伊に手紙を出しており、井伊は南泉たちに手紙を読み聞かせる。
 初見から思ってたが、なんで二人を交流させてしまうのか。手紙出す前に小竜が、もしくは届いたあとに大包平とかが握りつぶしておけばよかったのでは……。「本来出会わない二人の交流」が一番やばそう(実際やばい)なのに、なぜか「近くで見ているだけ」の三振り。……新人で機転がきかない、ってことなのかなあ……。

・松陰と会沢正志斎とが出会う
 歴史通りに松陰は会沢と出会い水戸学を学ぶことになる。
 れっつすたでぃー水ー戸ー学。ちょっと『To the North』みたい(笑)。会沢といいステ家康といい刀剣乱舞のおじいちゃんはハイな人ばかりのような……(笑)。

・状況を様子見をする肥前と山姥切国広
 傘作りする山姥切国広ソロ。
 山姥切国広、早く三人と合流して「松陰と井伊の交流断て」とか「仲違いさせろ」とか指示すべきでは……。歴史の流れを一番元に戻せるのは「二人を疎遠にさせる」じゃないのか。「歴史改変の影響が見えないから」って内職してる場合じゃないはず……。せめて文通止めないと……。山姥切国広、歴戦の男士のはずなのに何も動かないのがむしろ不審。それとも「あまり人間のことに手出しするのはよくない」みたいなルールあるのかな? 男士自身も「本来ならばこの歴史にいない未来の存在」だから下手に手出しすると余計に歴史が歪む、みたいな……?

・黒船の来航……と思ったら遡行軍の大軍も来る
 黒船に遡行軍が乗ってる……? ここでの遡行軍の目的はなんだろう? 松陰の暗殺とか? 港近くにいる重要そうな人間の抹殺とか? 大軍を派遣する以上は何かありそうだけども……。
 ここの個人個人の殺陣、BGMにそれぞれのソロや担当曲のアレンジが使われているっぽい。大包平は小竜と手合わせする時の曲。肥前は「人知れず咲く花あれば~」のやつ。山姥切国広も「散るひとひら~」のメロディーが入ってる。南泉はちょっとわかんなかったけど。
 松陰は「これが異国!」と喜んで小舟で様子を見に行く。護衛のためついていく小竜が、黒船は怖い顔で睨み付けて松陰には微笑むのが、彼の中で「日本の脅威(あるいは刀の時代の終わり)への悪感情」と「今や友人のような松陰の喜びが嬉しい」という気持ちがあるのかなあ、と思ったり。

・極兼さんの登場
 敵の多さにピンチになったところで兼さんの登場。かっこいい! 強い! 歌も最高!
 第一部だけど悲鳴を上げたくなるくらいかっこいい……。今回一番巻き戻して見たのここだと思う。かっこいい。何度でも見たい。
 しかしこの歌「コーラス:時間遡行軍」て感じだけど何を言ってるんだろうなあ。唯一「枯れ果て朽ちるだけ」というような言葉が聞き取れた。

大包平たち三振りと山姥切国広、肥前、和泉守の合流
 「なんでこの時代に?」と大包平に問われても答えない山姥切国広。端的に「井伊と松陰に張り付け」とだけ言って去る。和泉守は特にフォローせず山姥切国広を追いかける(おそらく実質上この場のリーダーを差し置いて作戦に口出しをしないため)。隊長なのに事情を把握できない大包平は憤慨。仲間でしょ説明して。仕事上でそういう人間がいるとマジで困るんだよ(二回目)。

・山姥切国広ソロ
 やはり「水に映る自分」の歌。最初は「川」「大河」だったのがここで「古池」になる。石を投げて波紋により「輪郭が不確かになる」が「俺は俺」。
 ……ここで「川」から「池」になっているのは、この時間が放棄される→歴史の川から前後を塞き止められる→溜め池になる、から「池」なのかな……今後の展開を思うに。

・山姥切国広と和泉守の会話
 和泉守いわく「修行から戻ったのが一番早かったから来た」。「修行前の加州は?」と思ったけど幕末の刀といっても「刀として」は池田屋以降存在せず「実際に時代を見た」わけではないから除外されたのかな?
 和泉守は既に「ここが歪みすぎており放棄されるだろう」と察している模様。「どうする」と問われ山姥切国広は「やるべきことをやる、やるべき時に」と答え「あいつらを頼む」と言い山姥切国広と和泉守は別れる。
 以降、兼さんは「見守り」に徹しているように思います。援軍側(?)として実質的なリーダーにあたる山姥切国広が積極的に動かないならそれに従う、ってことかな。

・夜更けまで執筆をする松陰
 この国の未来をどのようにすべきかを執筆している松陰。途中で眠ってしまった松陰に布をかけてあげる小竜。書かれたものを読み「内戦は避けねばならない」との記述で松陰を振り返る小竜。
 吉田松陰の著作を知らないんだけどこの文章は歴史改竄されたものだから驚いてるの? ちょっとこのへんは知識がないとわかんないですね……。
 あとは後の展開的に「松陰が井伊の右腕になっているので、内戦はダメだと井伊に進言→井伊が強硬な手法はとらず内戦を避ける政策を取る→さまざまな内戦が起きなくなる」と歴史改変が大きくなりそうだ、と思ったとかかな。でも、これものちに井伊直弼が「藩祖の遺言を守り戦乱は避けたい」と言っているから、「この世界の井伊直弼」は強硬な政策を本当に取っただろうか……という気も……。

大包平&南泉に合流する小竜
 大包平と小竜の手合わせ&ちょっと邪魔する南泉の歌。南泉可愛いな。
 肥前、和泉守も合流するが肥前は少し話すとまた離脱。
 松陰は井伊の右腕となっており、南泉は「それがどれだけ『正しい歴史』にとってよくないのか?」と問うが小竜は答えられない。代わりに和泉守が「正しい歴史において、松陰は井伊の命令で殺された」と告げる。しかしそれを聞いた南泉は「じゃあこの世界ならそれは起きないだろう」と喜ぶ。
 南泉、ものすごく無邪気だな……と思うけど、ゲーム内台詞は猫関連がメインだし、修行の手紙読んだ感じ尾張の徳川で大事にされてた箱入り息子で世間知らずで無邪気、って感じなのかね。にしてももう少し「歴史が変わること」に危機感を持った方がよいのでは……。

・兼さんソロ
 歴史が変わっていくことを想い、でも兼さんにとって大事なのは「正しい歴史」の、北の大地で散った土方さんだ、って歌かな。どんなに「もしも」を想像しても、「刀の和泉守兼定」が見てきた土方さんが一番美しい花、っていう。

徳川慶喜が「14代目」の将軍になる
 山姥切国広と和泉守が「詰んだな」と言い合ったあと「徳川慶喜が14代目将軍に就任」したことが明かされる。
 歌で『正しい歴史』が解説される。このシーン、面白いしわかりやすいし好き。家茂がほっぺをすごくピンクに塗っててなぜ? と思ったら当時12歳の子供だったことを表現するためなのね(そもそも家茂が将軍に推されたのは子供で傀儡に出来るから、ってことだったのかな)。
 端的に言えば「安政の大獄」(松陰も死亡)も「桜田門外の変」(井伊直弼死亡)も起こらなくなった。そのことを南泉は喜び大包平は「俺たちの役割は歴史を守ること」と言う。だが、南泉に「人命が失われないことはいいこと」と言われ大包平は言葉に詰まる。この後どうすべきか? と言われ山姥切国広は「お前たちに任せる」と去ってしまう。肥前も「自分のやり方でやる」と言い去り、南泉は井伊の元へ、小竜は松陰の元へ向かう。和泉守と残された大包平は「協力すべきではないのか」と言い、和泉守は「その気持ちを大事にしろ」と大包平を励ます。この辺、兼さんは完全に結びの響の土方さんの言動を踏襲してる。

・夢を語る井伊と南泉
 大老となり、これからの展望を語る井伊。あんまり歴史に詳しくないわたしでも、なんとなく「戦乱を避けていけそう」という感じは思った。「戦を避けるためなら何でもする」と語る井伊。そして「赤子が子守唄を聞きながら安心して眠れる世を守れ」が藩祖直政の遺言であることを語る(BGMはオルゴール調の『瑠璃色の空』。……この直政って絶対村正じゃん)。
 南泉は「おっさんが嬉しいとオレも嬉しい」と「本来の歴史から外れた」井伊のことを喜んでいる。

・「国営の」松下学問所に集まるひとびと
 松下村塾ではなく「松下学問所」になっている。小竜いわく「国家が運営する」……。ここの入学者は「本来の歴史にいる人」と「本来ならいない人」が混じってたりするのかな?
 和泉守に「なぜ元の主の井伊ではなく松陰のそばに?」と聞かれて小竜は「元の主を別の角度から見たかった」と答える。
 小竜は「元の歴史に戻す方法を探さないと」と言うが、とりあえずは松陰のそばに居続ける。大包平は「このままでよいのか」と具体的解決方法は見つからない様子。和泉守は「元の主(土方)がこの世界でどうなっているか見たい」と大包平と別れる。その後地震が起き、「最近多い」と大包平は言う(歴史の歪みが地震を起こしている?)。

・暗殺をする肥前
 おそらく本来は死んでいる/死ぬ人間を暗殺していく肥前。和泉守は「人斬りは楽しいかい?」と見咎めるようなことを言うが、肥前の行動を止めることはない。肥前の行動が肥前なりに考えた「歴史を元の流れに戻すため」だと和泉守は理解している。「やれるだけやってみろ、あまり無理すんな」と言い残し肥前と別れる。
 肥前ソロと共に「家紋の提灯」を持った人たちが斬られ提灯の明かりが消える(=死)という表現がされる。ソロの歌詞の中で「命=花」と表現される。これは兼さんのソロも同じ。
 ……見ている側としては「焼け石に水」だろうなぁと思ってしまうな。将軍就任の時点でもう無理な感じが……。

・山姥切国広に教えを乞う大包平
 傘作り→わらじ作り→浮き世絵作りと商売を変えている山姥切国広。大包平に「上手くはない」と評されるが「こんなものでも売れる」と。……粗悪な濫造品でも「オリエンタル」で売れてしまうことを皮肉っているのかな。
 大包平に「隊長としてどうしたらいいか」と問われ山姥切国広は「仲間を全員無事に本丸に連れて帰ること」と答える。そして山姥切国広は「納期を過ぎているから版元に行かなくては」と家を出てから「俺に隊長を語る資格はない」とひとりごちる。

肥前岡田以蔵の出会い
 勝海舟と共にいた岡田以蔵と遭遇。岡田は勝を逃がし肥前と刀を交える。この岡田が何をしているのかは不明だが言動から「人斬りとしては働いていない」ことは確実のようだ。肥前の刀の腕を見て「その力はお国のために使え、学問をやれ」と説教をする。岡田の去ったあと、一人刀を振るう肥前を、和泉守が見守っている。
 ……まあ相手が肥前だからあれだけども、「学問をやれ」とか傲慢だなァと思ってしまった。結局こーいう時の「学問をやれ」「勉強しろ」って「我々の思想に同調しろ」でしかないわけで。違うイデオロギーを持った相手に通じることではないし、もし日銭の為に殺し屋や強盗殺人的なことをやってるなら学問以前の問題になるわけで。思想の違いはともかく後者なら「あなたは『学問を受けられるご身分』でよかったですね」って。

明治維新ならぬ『慶応維新』
 多少の混乱はあれど、大きな内乱などは起きずに改革に成功。南泉の言うとおり「人が死なないよい歴史」なのだなぁ。小竜の説明のあと地震らしき音が入る。

・ええじゃないか
 改革の成功に民衆は沸き立ち「ええじゃないか」と歌い踊る。山姥切国広の作った没になった浮き世を和泉守が見ると「桜田門外の変」「戊辰戦争」などの「失われた歴史」の絵だった。山姥切国広は民衆に「失われた歴史」を伝えたかったのか。何もできない代わりに何か「記録」を残したいと思ったのか……。
 ええじゃないかの民衆を見ている男士たちだが、そこで突如「歴史が放棄」されてしまう。人間たちの時間は止まり、山姥切国広は肥前に脱出方法を訊ねるも肥前は「いきなり言われてもわからない」と言う(……だからちゃんと情報量共有しないから悪いんだよ……きちんと情報共有してたら肥前も脱出法調べてから来るなりなんなりしたでしょ……)。
 人間が狂暴化し、肥前は「もう人間と思うな」と言い刀を抜く。戦いの中南泉がいないことに気づいた小竜は南泉を追い、山姥切国広はいつの間にか離脱し、肥前も「出口を探す」と離脱。まとまらないことに怒る大包平だが、和泉守は「まとまらない連中を無理にまとめる必要はない。まとまる時にはまとまる」とアドバイスし、大包平に山姥切国広を探すように言う。

大包平と山姥切国広の合流
 山姥切国広は「個別に出口を探した方がいいから」と大包平に言い、大包平に「言われないとわからない、今後は説明しろ」と言われて「努力する」と答える。素直に答えられて戸惑いながらも納得する大包平。本当に今後直してくれるんかね。

・狂暴化した岡田以蔵肥前の戦い
 「この歴史と本当の歴史と、どっちが幸せだ」と岡田に問うが、当然答えられない。岡田を斬り、肥前はその場を去る。

・山姥切国広と大包平の共闘
 大包平に「こうなることがわかっていただろう」と言われて山姥切国広は「井伊と松陰が出会った時点でもうダメだった」旨を答える。……いやー、前述したけど二人を疎遠にしたらもう少し流れが戻ったんじゃないかなぁ……でも、山姥切国広は経験上「これはもう何をやっても無駄」と判断したということかな。
 大包平は「すぐに帰らずここまで待ったのは俺たちにこれ(世界の放棄)を見せ自分たちを成長させるためだろう」と言われ、山姥切国広は否定しない。「性格が暗い!」と大包平に言われるも山姥切国広は気にしない様子。「取り返しのつかないこと以外は経験しろ」と山姥切国広は言う。
 性格が「暗い」であって「悪い」ではないんだなあ。個人的には仕事仲間にここまで情報共有しないのは「性格が悪い」というか、ほんとに一緒に仕事する気あるか? って思うよ……実際に肥前も「(放棄された世界からの出方とか)いきなり言うな」って怒ってんじゃん……。

・和泉守と肥前の合流
 肥前の様子から、元の主を斬ったことを察する和泉守。泣いてもいいと肥前に伝えて抱きしめる。結びの響で土方さんが兼さんにしたように。切ない。泣いちゃう。

大包平と山姥切国広
 限界の近い大包平に「そんなものか」と発破をかける山姥切国広。自分を越えて欲しいことを伝える(言葉は悪いけど)。
 大包平は以前訊ねた隊長の心構え(仲間を連れ帰れ)に理由があるのかと問い山姥切国広は「仲間が折れたこと」を明かす。

・井伊を逃がそうとする南泉
 まだ正気の井伊を逃がそうとするが、二人の前に狂暴化した松陰が現れる。襲いかかられるが小竜が駆けつけて二人から松陰を引き離す。が、その間に井伊も狂暴化してしまう。井伊と戦いたくない南泉は刀を抜かずにとりあえず逃げる。
 一方、小竜は松陰と戦い、彼を殺害。悼もうとするが、その間もなく南泉を追いかける井伊が現れる。肥前、和泉守も合流。肥前が真っ先に刀を抜き井伊と対峙するが、南泉は「おっさんを殺さないでくれ」と頼む。「もう井伊直弼じゃない」と言われても納得しない南泉を振り払い、肥前は井伊を殺そうとするが、そこに人間たちがなだれ込んでくる。人間たちを追い山姥切国広と大包平も駆けつけて、山姥切国広が人間たちを斬り捨てる。そのうちの一人は山姥切国広の元主だった。
 南泉は山姥切国広にも井伊を殺さないように頼み、山姥切国広は「お前に委ねる」と井伊のことを南泉に一任する。井伊の説得を試みる南泉だが、狂暴化した井伊に言葉は通じず斬られるばかり。ついに覚悟を決めて南泉は井伊を斬る。

・『正しい』とは何か
 「オレ間違ってるかな?」と呟く南泉に「間違ってない。ただ正しいとも思わない」と答える和泉守。そして今は政府がこれを正しいと判断し世界を放棄したが、政府が間違っていることもある。今はそれの正否は判断できないから、生きてこの世界を抜け出す必要がある。そして政府が間違っていたら「ぶっとばーす」と軽い調子で言い、場を和ませる。南泉は井伊の遺体に「絶対に忘れない」と約束する。

・放棄された世界からの脱出
 「時の流れの入り口」を発見する一行。そこは井伊と松陰が出会った場所だった。閉じかけたそれをこじ開けようとするが、狂暴化した人間たちもそこを目指していた。さらに遡行軍も襲ってくる。和泉守は三体の遡行軍に「この戦に勝者はいないのだから手伝え」と手伝わせる(結びの響で遡行軍を従わせた土方さんのように)。再び人間たちが襲い来るも遡行軍と協力し撃退、大包平と山姥切国広以外は脱出に成功する。が、二人が脱出しようとしたところへまた人間たちが襲いに来た。山姥切国広は脱出口を抑えて山姥切国広を待つ大包平を突き飛ばし脱出させ「いい隊長になれ」と叫ぶ。

・残された山姥切国広
 一人で人間たちと戦い、花が散る歌を歌う。「これでお前のもとへ行ける」と死を覚悟する山姥切国広。しかし大包平が脱出口をこじ開け、隊員たちは戻ってくる。「お前に会えるのはもう少し先になりそうだ」と謝る山姥切国広。大包平が「撤退する、全員でだ!」と宣言し『刀剣乱舞』が始まる。ここ、最後の「朽ち果てるとも」を誰か「燃え尽きるとも」と間違えて「燃え果てるとも」になってましたね(笑)。メロディー同じだから間違えやすいだろうなぁ。わたしはそんなに歌詞を覚えない人間なので、もしソロ曲で「燃え尽きるとも」って歌われてたら気づかなかったかも。
 この山姥切国広のソロ、「放棄された世界」を想う歌なのかな。「聞かせて欲しい」は誰に問うているのか? 目の前にいる人間? 「どう生きたのか」「恋い焦がれた夜」「夢語った時代」「絶命の声は何故産声に似ているのか」……なかなか重い歌詞。「同じ命はない」でも目の前の人間をそれぞれの事情も知らぬまま斬らねばならない。だから「聞かせて欲しい、どんな人生か、どんな恋をしたのか、どんな夢を見たのか……」って歌うのかな。ちょっと東京心覚の「相手を知らないまま斬りたくない」と言った豊前を思い出します。
 山姥切国広のソロ、本丸では「川の流れ」、この世界に来てからは「池」、この歌も「池に落ちて朽ちる花(命)」……山姥切国広は「放棄された世界」に随分思い入れがあるのではないかと思い……もしかして「折れた誰か」は放棄された世界に「残った」のではないか? と思った。で、山姥切国広は「どうせ死ぬなら同じように」と思って今回の行動に出たのでは。
 さらに妄想すると、前回書いた「折れた刀=最初の一振りの歌仙兼定」という想像を前提として……歌仙、ゲームでいう「特命調査慶長熊本」の放棄された世界に残ったんじゃないか? で、まだ生きてるけど山姥切国広(および審神者)は折れたと思ってるだけなんでは? 個人的に刀ミュは誰かが折れてお涙頂戴みたいな展開はしないだろうと思ってて(完全にわたしの願望も入ってるけど……)、今は「折れた」と言ってるけど「実は生きている」って展開になるんじゃないかなあ。あとメタ的な話をすると一番「新しく入りそうな客層」って「あるキャラ(仮にA)を好きな原作ゲームプレイヤー」じゃないかと。で、「刀ミュはこれまで見たことないけどAが出るなら見たい」って人が「Aが折れる、あるいは折れた2振り目」みたいな設定だと「じゃあ見たくないや」にならないかな、と。まあもしかすると「キャラクターが好き」より「俳優が好き」の方が層が厚い可能性もあるかもですが。「俳優が好き」なら死ぬ役でも「活躍してかっこよく死ぬ役だったら歓迎」て感じだろうし。

・「本来の歴史」の桜田門外の変
 英語の歌と共に桜田門外の変が描かれる。これ、すごく「海外ドラマっぽい演出」だなあと思った。ラストに「歌つきの音楽と共にその後が描かれる」っていう演出、結構多いんで。初見「えっダサ……」と思ってしまったけど海外ドラマっぽい感じを取り入れたいのかなあ、と……。
 井伊直弼の遺体の傍に花を置く南泉。おそらくは、新たな出陣で彼らが「正しい歴史を守った結果」としての桜田門外の変=井伊直弼の死。小竜は遺体を見つめて胸に手を当て、彼の死に敬意を示す。しかしそこから離れようとして、突如力が抜けたように転んでしまう。心配されるが「なんてことないよ。たくさんいた主の一人さ」と泣きそうな声で言う。南泉と大包平に助け起こされ、三人は最初の時のように「蕎麦でも食いに行こう」と言う。和泉守は大包平に借りを返すために彼らに奢ってやろうと言うが、肥前は「奢らせるなら山姥切国広に」と提案する。前回の出陣で稼いだ金を使ってやれ、と。成り行きで奢ることになってしまい、「どいつもこいつも……」と呟いて山姥切国広も蕎麦屋へ向かう。井伊の遺体だけが残され暗転。
 暗転後、出演者たちが正座して礼をして幕が降りる。
 パライソといい、エンディング曲なしが今後の流れなのかな。

●第二部

 ディレイで再感想書くとき前回も第一部に気を取られすぎて第二部まで入れませんでしたが今回もあんまり第二部見れませんでした。なので気になった曲だけ。

・1曲目の全員で歌う曲
 今回のシングルカットこれかな? となんとなく思ってる。これまでにシングルになってなさそうなパターンの曲かなあと。6曲目のやつだと「明るいJ-POP」で『約束の空』で既に出てるしなあ、と……。
 「世界が敵に回っても滅んでもお前が俺を忘れない」的な歌詞……これ第一部の南泉の「おっさんのことを忘れない」とちょっと繋がるのかな。

・山姥切国広のソロ
 こちらもすごく第一部を引きずってないか? と思いました。「百億の命の叫び」という歌詞があり、第一部でたくさん人間を斬ったこととか想っているのかな、と。

●ざっくり第一部曲一覧

・山姥切国広ソロ(川に映る自分)
・南泉ソロ(かわいい)
・会沢正志斎他れっつすたでぃー水戸学の歌
・山姥切国広ソロ(傘作り)
・兼さん登場ソロ
・山姥切国広ソロ(池に映る自分)
大包平と小竜の手合わせ&邪魔する南泉の歌
・兼さんソロ(土方を想う歌……かな?)
・『正しい歴史』の説明の歌
肥前ソロ
・山姥切国広ソロ(花(=命)の歌)
刀剣乱舞

 ……今回、そんなに歌が多くないね? 12曲かな? 最近の刀ミュにしては少ない気がしますが、劇を見ている間は「歌が少ない」とかは感じなかったです。

 ざっとアルバムとかから第一部の曲数を調べました。

・阿津賀志山異文(2016)→10曲
・天狼傳(2016)→12曲
・みほとせ→13曲
・つはもの→11曲
・結びの響→11曲
・阿津賀志山異文巴里→11曲
・葵咲本紀→14曲
・天狼傳2020→17曲
・東京心覚→18曲
・パライソ2021→24曲

 ……天狼傳2020以降に増えましたが、最初の阿津賀志山~葵咲本紀までは10~14曲ですね。直近のパライソが24曲あるので少なく感じるだけで。
 あと今回は「個人の心情を語る歌」が多い。山姥切国広の歌は全部それ(傘作りは違うか?)。和泉守、肥前のソロも「個人の心情を語る」もの。南泉ソロも「お昼寝したい」という心情の歌。みほとせの『かざぐるま』やつはものの『散るは火の花』みたいな「時間の流れを見せる歌」やストーリーを劇的に見せる『おぼえている』や『夢語り』みたいなのはなかったなあと。
 今回一番面白かったのは『正しい歴史の歌』的なやつです。正しい歴史を説明したあと時間が逆回しになるような演出も好き。
 好きなのは兼さん登場の歌と一人残った山姥切国広が歌う歌。

●疑問点

・そんなに情報共有しない理由なに?
 山姥切国広、情報共有しなさすぎて不思議。仕事でしょホウレンソウちゃんとしようよ、そーいう人間がいると一緒に働く人間はとても困るんだ(三回目)。
 審神者大包平たちの元に山姥切国広たちを送るときは既に審神者は「大包平たちが行った先が放棄されそう」ということを既に予想している。山姥切国広にはそれを話していると思うが、山姥切国広はその情報を他の刀剣男士に伝えない。
 メタ的なこと言うと、観客を驚かせたい、なのかなあ……。ゲームプレイヤーのわたしは「長義がいい」って言った時点で「今回は放棄される世界の話か」とピンと来てしまったので「放棄されることがわかっているからその話を引き伸ばす理由がわからない」になった。もう「犯人がバレバレのミステリを見てる」みたいな感じ。歴史がズレていくことにも最後の「ここが放棄されたんだ!」にも「うん、知ってた」になってしまうんだよなあ。そこは前述した通りもっと「放棄されないように立ち回る」みたいなのをやって「この歴史を守れるか/守れないか」ってドキドキを感じさせて欲しかったなぁと思ったりも……。井伊と松陰の文通を「ただ見てるだけ」のシーンとか初見は「何やってんの? 止めなよ。ボーッと見てたら歴史に影響あるに決まってるじゃん」って思ってしまったもん。いや、このストーリーはこのストーリーで面白いけど。
 悪い見方をすると「山姥切国広はわざと歴史が放棄されるように様子見だけしてた」って思ってしまう。最後の方で「この世界の崩壊を見せて俺たちを成長させるつもりだ」って大包平に言われて認めていた。つまり最初から「歴史を守るつもりがなかった」わけで。それ、新人の教育に悪くないか……「歴史がズレたら放棄したらいい」って考えで出陣するの危険じゃないのか……。
 それとも、山姥切国広が出陣する時に「既に政府は歴史の放棄を決定していた」のか。「山姥切国広はそれを利用して新人たちがどのように立ち回るかを観察していた」とか。自分たちで「手紙のやり取りを阻止しよう」とか「松陰と井伊を引き離そう」とか、何かしら改変を止める手段を考案することを期待していた(結果は失敗で構わず、どのように行動するかを見たかった)のか。「松陰と井伊が出会った時点でダメだった」というのは山姥切国広自身の考えではなく「政府が既にそう判断していた」とか。
 ……でも、もしこの「山姥切国広が出陣した時には既に政府は世界を放棄することを決定していた」ならば、「山姥切国広が放棄された世界からの脱出法をきちんと確認していない」のあまりにお粗末では……。「肥前なら知ってるはず」と思い込んでたのかもしれないけど……。

・男士を残したまま世界を放棄するのひどくない?
 政府って本丸の出陣情報を管理してないのか……? 男士がいる状態のまま世界を放棄するの、一歩違えば「業務上過失致死」みたいなのにならない?(男士は『刀』だから適用されなさそうだが)過失致死かどうかはともかく、脱出が間に合わなかったら貴重な戦力を失うわけだけど、なんで味方の撤退を確認しないまま放棄するの? 審神者と政府もホウレンソウ出来てないの?
 それか、「あまりにズレた歴史を放置しすぎると『正しい歴史』に影響が出るので、限界点に来たら早急に放棄しなければならない」とか? そのギリギリの場所があの「ええじゃないか」の瞬間だった、とか……いや、それにしたって事前に出陣している男士にその歴史から出るように連絡すべきでは……そもそも政府と審神者ってあんま連携してないのか……? でも、ラストの山姥切国広が残って大包平が時間の出口? を開けるとこ、それまで男士6人+遡行軍3人でやっと開けれたものを男士5人で開けるって物理的に無理やろって話だと思うので、あの出入口から一旦本丸に戻った/戻るまではいかなくても審神者に連絡を取り政府に「まだ男士がいるから出入口開けろ」と要請→最低限閉める力を弱めさせて大包平たちで開ける、みたいなことはあったのか……。いや、「内側からは開けにくいが外側からは開けやすい」だけかも……。

・放棄された世界は『三百年の子守唄』『葵咲本紀』で守った世界ではないか
 前述したけど「藩祖井伊直政の遺言で戦のない子守唄の絶えない世界にしたい」ってこの「藩祖井伊直政」はみほとせと葵咲本紀で井伊直政を演じた村正ではないのか……。この世界はみほとせ~葵咲本紀で歴史改竄を防いだ世界なのではないのか……。でも、そもそも「家康が赤子の時に家臣がすべて死んでしまった」ことで既にこの世界の基盤にはヒビが入っており、石切丸たちが家臣に成り代わることでなんとか未来を繋げたが結局は「もたなかった」ということなのか……。
 でもこの「井伊直政の遺言を守る井伊直弼が強硬な政策を取るか?」という部分で松陰と出会っていなくても「内戦を避ける政策」を取り続けて歴史が歪んだ可能性もあるような……と思うと、刀剣男士が過去で誰かに成り代わって歴史を守ろうとしても結局はこのように崩壊を迎えてしまうということなのでは……。

・「政府は本当に正しいのか?」という疑問が提示される
 政府と審神者の関係はゲームの図録の設定資料集読むと「政府が審神者なるものを派遣」とあるので雇用あるいは業務請負的な関係かなと思うんだけども……その割には特命調査なんかで不仲な感じが描かれている。聚楽第では「不満なら反乱を起こしてもいい」と言われ慶応甲府では「慈悲深い政府は諸君らにまだ仕事があると言っている」……なんでこんな台詞を言われるんだろうなあ、と最初の特命調査から思っている。則宗はジョーク的に「新しいお仕事だぞ」と言ってるのかもしれないけど、ながよしみたいな真面目な子がなぜ政府との対立を煽るようなことを言うのだろう。まあ特命調査以外には特にそんな描写はないけども。
 今回は「井伊と松陰の出会いで戦乱が避けられたのはよかったのではないのか? なぜここは『正しくない』とされてしまうのか?」と南泉が問い和泉守は「政府が必ずしも正しいとは限らない」と言う。……これはタイムトラベルものによくある「過去を変えたら『よりよい未来』にできるのではないか」ってやつだよね。時間遡行軍はその『よりよい未来』のため動いていて、政府(およびそれに派遣された審神者)は「どんな悲惨な過去でも過去は変えてはならない」で動いているから敵対している……というように今回は感じられた。個人的にこの「過去は変えてもよいのかどうか」は少なくとも「2022年に生きる人間としてはNO」ですね。自分の存在にかかわるし、慶長熊本のような世界線が確定するとわたしの信仰する宗教が断絶する可能性があるし。
 南泉は尾張徳川で大事にされてて逸話が猫に集中してて実感薄いんだろうけど「刀剣男士」も「歴史が変わると存在しなくなる」子が多いと思う。今回の世界だと肥前、和泉守は「確実に存在しない」。岡田以蔵は人斬りにならないし、土方歳三は薬屋になってるし。今回は出てないメンバーも、新選組関係は全員「個人に使われた逸話」に依存してるから存在できない。陸奥守は龍馬のことが肥前に一度言及されただけだけど、その後が不明なので「刀剣男士陸奥守吉行」が存在できるかは微妙なところ。ゲームの文久土佐で「歴史を守るのは刀剣男士の本能」と言われるのは「歴史改変は自分自身が存在するかどうかの分かれ目」だからではないか。

・遡行軍の変えたい未来とは
 遡行軍はいろんな時代に出陣している。最終的に目指す未来はどこなんだろう? と思います。個人的には「明確なビジョン」があるというより「とにかく2205年を変えたい」なのかな、と思ったりします。なんとなく、現代から2205年までの間には大変なこと(核戦争とか)が起きていて、地球そのものがヤバい状態になっていてそれを変えたい、みたいな……。それこそ、2205年は「人類が滅びの危機」に瀕しているとか。アルトネリコみたいに本丸を管理出来る塔の周辺にすこし島が残っているだけとか(アルトネリコから離れろ)。アルノサージュみたいに惑星は滅んで移民船に人類が……あ、だめだ「ゾーリンゲンサーバー部隊」が成立しない(笑)。
 ともかく、明確に目指す未来があるよりも「現在(2205年)を変えること」が目的だから天狼傳で新選組を結成前に消そうとしたけど、結びの響では土方歳三を生き延びさせようとするみたいな、同じ人物を殺そうとしたり生かそうとしたりするのかなあ、と。

・なぜ山姥切国広は内職(?)をしているのか
 傘屋、わらじ屋、浮世絵屋……なんでやってるのかな。もしかして2205年では絶えた技術であり、それをやってみたかった、とか……? あとは……「人間の近くにいたかった」のかな、と思いました。この先世界が放棄されて中の人間はみんな死んでしまう。だからこそ「人の生活」の近くにいたかったのかな、と……。